下垂体患者の注意点や今後の手術等につきまして

 日本の全国に緊急事態宣言が出され、小池知事の言われた”感染爆発”の重要な局面入り、皆さんはご不安の中、3密を避けながら、ひっそり生活されておられるかと思います。

 下垂体患者さんからコロナウイルスについてのご心配メールをいただいております。
 下垂体疾患をお持ちの患者様がCOVID-19のどのような点に注意したら良いかお伝えします。
 1)過去に下垂体の手術を受けたが、現在特に合併症(糖尿病や高血圧、心疾患)や下垂体機能低下症がない方は、「通常の健康な同年代の方」とCOVID-19に対する条件は変わりませんのでご安心ください。
 一方「合併症」のある方はない方と比べ「COVID-19が重症化しやすい」と報告されていますのでくれぐれもご注意ください。
 2)「クッシング病の患者さんで治療前、治療後も治癒に至っていない場合」同様に重症化しやすいのでご注意ください。
 3)「下垂体機能低下症の患者さん」「特に副腎皮質機能低下症」をきたし、「現在コートリルを内服されておられる方」は仮にCOVID-19に感染した場合は内服量を増やすなど、適切なシックデイの対応を取ってください。
 4)外来へ定期受診されている場合、状況に応じて電話診療(再診)の制度が利用できます。
 5)耳鼻咽喉科や口腔外科・歯科、眼科ではウイルス伝播しやすいことから注意喚起がなされており、受診の緊急性について相談してください。

 

COVID-19感染症の予防法

「3密を避け」「できるだけ人との接触を減らす」今一般に言われていることをしっかり実行してください。

■最も重要なことは手洗い■

○外出中はできるだけ色々な物をを触らない。触ったら手を洗う。すぐ、手を洗えなければ洗えるまでその手で顔を触ったり眼を擦ったりしないよう徹底的に気を付けてください。

■コロナ緊急事態宣言中の下垂体の手術について■

 現在下垂体の手術は受け付けております。今まで通り、個人のホームページでは電話、メール相談も受け付け致しております。
 但し、どの外科関連学会からも「不急の手術」は当面1ヶ月あるいはそれ以上延期するように勧告されています。
○1ヶ月以内の手術が必要な視野障害を呈する腫瘍
○早期の手術が必要なクッシング病の患者さんなど(準急患)
○下垂体卒中などで緊急の手術が必要な患者さん
 以上にはやはり手術が必要となります。
 しかし経鼻でおこなう下垂体の手術は特に(患者さんにではなく医療者側にとって)リスクの高い手術と考えられています(ウイルスの多い鼻腔や咽頭を操作する為)。
 その為、手術前に患者さんがCOVID-19に感染していないかどうかを調べるよう推奨されています。
 まずは問診、全身状態、採血検査や胸部CT検査を行い、結果が問題なく、また直前(48時間前)のPCR検査が陰性であれば通常の手術個人防護具(ガウン、マスク、帽子、手袋)で十分とされています。ただし残念ながら現状ではこの様な状況下で全員にPCRを行うことはできませんし、PCRもその感度が6-~70%程度と報告されています。
したがって十分に術前検討を行いコロナの可能性が低いと判断された場合のみ原則手術を行なっていますが、基本コロナの患者さんでも対応できる様なFull PPE(完全個人防護具)を装着し、我々医療者を守れる体制で手術を行なっています。
 写真を載せますが、まるで宇宙飛行士の様ですね。しかし見た目以上に快適です。N95のマスクより更に高性能で全く手術に不自由は感じません。

    

2020年4月17日
文責:下垂体患者の会顧問 山田正三