【ご案内:先端巨大症】症状振り返りシートの解説動画の公開について

レコルダティ・レア・ディジーズ・ジャパン株式会社様より、
以下の情報提供がありましたのでお知らせいたします。

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当会顧問である淡海医療センター 島津 章 先生より、
先端巨大症の症状について主治医の先生と共有するため、
患者様向けに分かりやすく解説していただいた動画が公開されました。

https://vimeo.com/1121829171/b3435bb7d8?share=copy
こちらのリンクよりご視聴いただけます。

「検査値が正常化しているにもかかわらず、
疾患に伴う症状が改善していないことを、うまく主治医に伝えられず困っている」というお話を受け、
本動画を島津先生に作成いただきました。

また、「症状」に特化した先端巨大症の振り返りシートを作成いただきました。
医療従事者の方から患者様へお渡しし、記入いただくことを想定し、
医療従事者の皆様に全国でご紹介しております。
主治医の先生とのコミュニケーションツールとして、
今後、「症状振り返りシート」をご活用いただく機会が、広まることが期待されます。

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当会としても、振り返りシートを通して主治医の先生との相互理解がより深まり、
患者様が最適な治療を受けられる一助となることを願っております。

総会およびミニレクチャーと交流会を行いました

2025年7月27日、森山脳神経センター病院にて、下垂体患者の顧問の先生によるミニレクチャーと交流会を行いました。

昨年に引き続き、対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド形式で行い、会場には21名、オンラインでは22名の会員の皆さまにご参加いただきました。
当日は予定時間を大きく上回る約3時間半にわたる充実した会となりました。
顧問の先生方は、お一人おひとりのご質問に対して非常に丁寧にご対応くださり、実りある時間となりました。
この場をお借りして、先生方に心より御礼申し上げます。

なお、体調がすぐれない中でご参加くださった皆さまには、長時間の会となってしまったことを深くお詫び申し上げます。

参加された皆さまからは、主治医との関わり方や具体的な治療法に関するご質問が多く寄せられました。下垂体機能低下症、先端巨大症、クッシング症候群の患者にとって、採血結果の解釈については大変勉強になりました。

顧問の先生方からは、『治療の主人公は患者自身であり、自ら納得するまで学び、考え抜いたうえで、その考えに寄り添ってくれる医師を選ぶことが大切』といった力強いメッセージをいただきました。

このように医師と直接対話できる交流会は、2ヶ月に一度、オンラインで開催しています。
次回は10月の予定です。ぜひご参加ください。

また、2025年7月27日に開催されたミニレクチャー(総会と同日開催)について、顧問の先生方から講演資料をご提供いただきました。
会員限定ではありますが、会員専用ページ「医療講演会資料・ビデオ」にてご覧いただけます。→医療講演会資料はこちら
ご参加いただいた方の振り返りとして、また当日ご参加が叶わなかった方の学びの機会として、ぜひご活用ください。

【ミニレクチャー1】
『専門病院/施設における間脳下垂体外科治療の実際について』
山田 正三 先生 (森山脳神経センター病院 間脳下垂体センター長)

【ミニレクチャー2】
『下垂体機能検査の結果をどう読み解くか』
島津 章 先生 (淡海医療センター 院長特別補佐 兼 先進医療センター長)
※資料の無断転載・外部への共有はご遠慮くださいますようお願いいたします。

今後も皆さまのお声を大切にしながら、より有意義な会を目指して活動してまいります。
引き続き、あたたかいご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。

「下垂体腺腫」の名称変更に関する学会での発言

2022年、世界保健機関(WHO)は、これまで使用されてきた「下垂体腺腫」という名称を、より医学的に適切な「下垂体神経内分泌腫瘍(PitNET)」に変更することを決定しました。(参考:当会ホームページ 2023年5月27日の投稿)しかし、この新しい名称への移行には時間を要し、日常臨床の現場においては患者に違和感や混乱を生じさせる可能性があるため、医師の間でも賛否が分かれ、議論が続いてきました。
特に、「腫瘍」という表現が「がん(癌)」を連想させることから、この分野に詳しくない医師の誤解を招く懸念があります。また、日本の指定難病制度では「がん」は対象外とされているため、この名称変更が指定難病からの除外につながるのではないかという不安もありました。

2025年2月に開催された第35回日本間脳下垂体腫瘍学会の特別シンポジウム1「PitNET(WHO)の抱える諸問題の現状」では、これらの懸念点について専門医による討論が行われました。シンポジウムでは、海外の基準に合わせて名称が変更されたものの、診療や治療内容、指定難病や特定疾患制度の取り扱いに変更はないとの説明がなされました。今後、公的な書類では「下垂体神経内分泌腫瘍(PitNET)」という名称が使用されるものの、診療や治療内容には影響がないことが強調されました。また、医師は引き続き患者第一の治療を継続する方針であることも確認されました。

このシンポジウムの最後に、当会の今村が患者会の代表として発言する機会をいただき、以下のように述べました。
「現在のところ、下垂体腫瘍の分類名が変更されたことに関して、下垂体患者の会へのお問い合わせや相談は寄せられておりません。また、2ヶ月に1回の交流会でも、そのような意見は聞かれていません。しかし、新しい分類が導入された際に、診断時の説明に『がんの仲間である』といったニュアンスが含まれると、多くの患者が不安を抱く可能性があります。今回のシンポジウムを通じて、分類方法が変わっても下垂体疾患の診断や治療法には影響がないことを理解しましたので、ご相談をいただいた際にはしっかりと説明していきたいと考えています。
また、私個人の考えとして、下垂体疾患の患者が生きるためには医療の支援が不可欠であり、指定難病制度によって大きく支えられているのが現状です。疾患の分類が変更されても、患者の生活の困難さが変わるわけではありません。この変更が指定難病制度の対象外とされることにつながらないよう願うとともに、今後の議論で生じるさまざまな情報が正しく患者に伝わることを切に望んでいます。」

この今村の発言に対して、多くの医師からは「非常に感銘を受けた」との温かい励ましの言葉をいただきました。また、「今後も患者に寄り添った治療を行っていきたい」との意見も寄せられました。
下垂体患者の会としても、医療業界の変化に注視しながら適切に対応し、患者の立場から引き続き意見を発信していきたいと考えております。