【情報提供】「下垂体腺腫」の呼称変更について

5月23日の交流会にご参加くださった、虎の門病院の西岡宏先生(日本間脳下垂体腫瘍学会理事長)より貴重なお話を伺いましたので、情報を共有いたします。

最近、WHOによりこれまで使われてきた「下垂体腺腫」という名称を、より医学的に適切な「下垂体神経内分泌腫瘍」に変更することが決まりました。しかしながら、長く使われてきた「下垂体腺腫」という病名を、「神経内分泌腫瘍」という呼び方に変えていくには時間が必要であり、日常臨床の現場では患者さんに違和感や混乱を生じさせる可能性があることから、医師の間でも賛否があり議論が行われてきました。

そこで、専門家が用いる病理組織診断名としては「下垂体神経内分泌腫瘍」を、一般臨床病名としては「下垂体腫瘍」を用いることになりました。患者さんと医師の間で混乱が生じないよう、日常の診療においては「下垂体腫瘍」という名称が一般的に使用される方針とのことです。

ただし、過渡期には若干の混乱も生じる可能性があり、医師によっては混同して使用されることもあるかもしれません。重要なことは、これまでの診療(診断や治療)や指定難病や特定疾患制度への影響はないことです。公的な書類や診断書では「下垂体神経内分泌腫瘍」という名称が使用されますが、患者さんにとって診療や治療内容が変わるということはありません。

また、「糖尿病」や「尿崩症」という病名も、「尿」という言葉が不快な思いをする方もいらっしゃることから、将来的に名称が変わる可能性がある病気として挙げられていました。

参考として日本臨床内分泌病理学会から出された、この件に関するパブリックコメント募集のリンクを掲載いたします。

https://square.umin.ac.jp/jeps/PitNET.pdf